夢を阻むもの


Y.
M様(女性) 



2005年10月15日17:00〜19:00
 


 今回久しぶりにお伺いしたのは、自分の「真剣にやりたいことがやってくるとひどい恐怖や不安を感じ
パニック状態になる」という問題を何とかしたかったからです。
私は少し前に、真剣にやりたい仕事を見つけ、それに向かって努力しようとし始めたところでした。
でも、具体的に行動を起こした途端、「私には無理だ、やめた方が良い、やめよう」というような感情が、殆
ど暴力的な勢いで襲ってきたのです。
やろうとしていることは、私にとってはまったく未知の分野というわけでもなく、具体的な失敗が怖いわけで
もない。一体何がそんなに怖いんだろう、と自分でも不思議で、この感情をもてあましていました。

 先生に伺うと、原因は過去世にも現世にもあるということでしたが、「今回は過去世のほうがやり易いかも」
ということで、原因となった前世を見ることになりました。
ちなみに、今回先生が私の問題に対して提示して下さった目的は
「私は自分のやりたいことをリラックスしてやっている。」
という状態になればいいのよね、ということ。
現実化へのエネルギーの数値は10割のうち今どれくらいだと思う? と聞かれました。
「2、いや、1でしょうか?」
「0ですって!」
……。
(これは、過去世退行のあと見ていただいたら10になったそうです!! わーい)


<退行>

 以前の体験で何度か行ったことのある美しい風景と聖域を経て、過去世への門に立ちます。
黒い金属の装飾的な門です。
門を開けて過去世に入っていきます。

「貴方が歩いているのはどんなところですか。土の上、それとも部屋の中?」
「土の上です」
「土は乾いている? 濡れている?」
「乾いています」
「足元を見て下さい。何か履いていますか?」
「……下駄を履いています」
「あなたは子供? 大人?」
「中学生くらいです」
私は粗末な着物と袴を身に着けた少年で、学校に通う途中でした。
空が青くて、畑や小屋が見えます。そして、物凄く近くに緑の山並みが見えました。
学校は小さな小屋で(あとの方で分ったんですが、正式の学校ではなく私塾でした)、ごちゃごちゃっと生徒
がいて、先生はまだ若い男性。
漢文の授業なんだけど、先生が「これはどう思います?」とか聞いて、皆がああでもないこうでもないと発言
するような、いきいきした感じ。


そこから家に帰ります。
家も小屋(小屋三昧^^;)って感じ。
お父さんとお母さん、妹がいます。
真面目でちょっと小心な感じのお父さん、生活に疲れた、粗末な着物をきちんと着たお母さん、やっぱり粗
末な着物を着て、でもくるくると明るい妹。
「お父さんは、何をしている人?」
「一応……武士です。」
(ほんとに「一応」が付くような身分の低い家だったみたいで、彼は正規の学校には入れず私塾に通ってい
ました。)
「そこは貴方にとって安らげる場所ですか?」
「安らげることは、安らげるけど・・・。」
勉強の出来る自分に、「頑張って少しだけ出世をして生きて行って欲しい。」と望む父親に、息苦しさを感じて
もいるみたいです。
父親のように、狭い社会で人に頭を下げ続けて生きていくのかと思うとちょっと苦しい。
母や妹のことは、「もっと楽をさせてやりたい。もう少し綺麗な格好をさせてやりたい。」と思っている。


そして、「この人生の重要な場面」。
私は部屋の中で、仲間と一緒に襲われていて、斬り合いをしていました。
皆、他の人を逃がそうとして必死で、結局逃げられないでいるような。
私は助けを呼ぼうと思って隙をついて外に出て、でも結局戻って来て、既に囲まれてしまった現場に何とか
戻って行こうとして、そこで殺されてしまいます。
私たちは、政府を倒す相談をそこでしていたみたいです。私たちを襲っていたのは、警察のような人たちで
した。


<死後の思考と感情>


 死のその時に感じたのは、強烈な罪悪感と絶望感です。

 先生の誘導でその人生を離れて、彼が最後に感じたことへとアクセスしました。
「自分が志や学問を追いかけなければ、家族は不幸にならなかった。」
彼は自分を頼りにしていた家族に対して、ひどい罪悪感を感じていました。
「思い残したことは?」
「家族。
それから、私はそこでは死にたくなかった。
仲間がそこで死んでいる以上、死ぬべきだと思っていたし、それに不服はなかったけど、でも私はそこでは
まだ死にたくなかった。」」
「身分制度がなくなるのを見たかった。」
「家族を幸せにしたかった。」

 彼は、死んだとき決意をしていました。
「自分のやりたいことをすれば、周囲を不幸にする。だから、自分の志や夢を追いかけてはいけない」
   *(この決意こそが、今生の不可解な恐怖の根源となっていたのです。)

 彼の気にしていた家族のその後へも行って見ました。
父も母も、やつれてはいたけれど、父は彼のことをむしろ誇りに思っていた。
結婚して(多分家を継いだ)妹は、元気に家事をこなしていました。
誰も、彼の所為で不幸になったりはしていませんでした。

 それから、彼に会いに行き会話を交わしました。
「貴方が志を立ててくれてよかった」
「貴方が正しかったことはあとで分ったし、貴方が望んだ世界に今はなったから。」
彼から、「自由に生きなさい。」と言われました。
先生の誘導で、彼の志や情熱が自分の胸にあるのを感じました。
初めてのことでしたが、帰り道、ずうっと胸に手を置いたままで歩いて行きました。
 
 帰りに聖域で、私の守護神から贈り物を頂きました。
それは剣です。ずっしりと重い剣でした。
「自分の望みのために、人を傷つけることを恐れてはいけない」
(ちょっと戸惑ったんですが、これって、自分の望みに従うことによって、他人が傷ついたりはしないってこと
のような気がします)
切り拓きなさい。というメッセージでした。



【体験後に感じたこと】
これは、私が今まで体験した過去世ではとにかくいちばんリアルで、終わったあとしばらくクラクラしていたく
らいです。
一生懸命勉強して、自分の志に忠実に生きて、でも家族に対して引け目を感じていた彼を、私はとても好き
になりました。
彼の激しい情熱を受け取って、それから彼の(私の中に残した)決意を変えさせた事で、自分の中にちょっ
と戸惑うほどのエネルギーが入ってくるのを帰り道に感じました。

夢が叶うかはこれからの自分の努力しだいだと思いますが、自分がいつも本当にやりたいことの前でひど
く逃げ腰だったのはこの時の所為なんだ、というのは本当に実感です。
意外なんですが、私はこの殺されてしまう過去世を「狭い社会の中で生きるくらいなら、むしろ幸せ」とか思
いました。
それから、この退行で凄く印象的だったのは、最初に見た、塾に通う途中の空や山並みの緑の美しさ。そし
て授業の楽しさ。そして、家族に対する思い。こんなに綺麗な景色を退行の中で見たのは初めてです。


セッションの当日は、ぼうっと頭が重いくらいにリアルな体験でした。
数日経って、やろうとしていたことに手をつけました。
自分の心がびっくりするくらい静かなのが不思議なくらいでした。



                          ー了ー



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