| その年の終わり、私には一年間の達成感も、新しい年への希望もなく、目の前にある仕事を、ただこ |
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| なしているだけでした。クリスマスの華やかさもお正月への賑わいも、負担になるだけ。周囲の人たちと |
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| 一緒に笑うことさえ辛くて仕方なかったのです。日々の仕事に追われ、時間との競争の毎日。心を閉ざし |
| た状態での生活は自分をどんどん暗闇にひきづりこんでいきました。私には何の安らぎも活力もなく、これ |
| から毎日をのりきっていく術をみつけることができませんでした。そして、自分の心に決めたこと、それは |
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| 「何も期待しないことと、人生を7割の力で生きること。」生きる喜びなど求めようもないこんな方針を支え |
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| に何とかスタートしようとしました。しかし、・・・・・ |
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| 大晦日、まさに新年を迎えようとしている時、私の心の叫びは爆発してしまったのです。「もう、何もした |
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| くない!」そう言いながら、ぼろぼろと涙をこぼしている私を見て、主人はびっくり。初めて私の心の異常さ |
| に気づいたたようでした。 |
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年が明けて、私は仕事を2ヶ月ほど休むことにしました。そして自分の生き方を見つめなおそうと決めた |
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| のです。精神神経科に通いながら、何とか今までの生活を変えずに、元気に生きていく方法を思案しまし |
| たが、問題が解決できない限り見通しは明るくなりません。やっぱり、我慢を続けて生きていくしかないの |
| だろうか・・・と悩んでいる時、前世療法に出会ったのです。知り合いの話の中にでてきた「前世療法」は |
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| なぜか私の心にひっかかって、それに対する興味を抑えることができませんでした。自分の前世を知るこ |
| とが、これからの生き方に役に立つなんて、私には想像もつかなかったけれど、何かに惹かれるかのよう |
| に、葉香さんを訪れたのでした。 |
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| 穏やかな笑顔で迎えてくれた葉香さんは、親身になって私の話を聴いてくれました。それだけではなく、 |
| これからの生き方を厳しくそして強く、私に教えてくれました。何の飾り気もなくまっすぐに私を導いてくれ |
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| たのです。どんなことでもきちんとやらないと気がすまない私、人との約束をきっちり守らないで責められ |
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| るのが怖くて何でも完璧にこなそうとする私を変えるために過去を見つめる必要があるというのです。 |
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最初に観た私の前世は、手をのばしても外に出ることのできない闇のような世界でした。上から怖い |
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| 顔をした人たちが出口をふさいでいるので私は後戻りしました。すると、そこには冷たい雰囲気の男性と、 |
| 性格のきつそうな女性が立っていて、近寄りがたい感じです。そこから、もう少し人生を進めてみると、花 |
| 柄のふんわりしたドレスを着た私がいました。でも、顔が見えない。よ〜く観ると、馬に蹴飛ばされて倒れ |
| ています。その私をさらに馬車が轢きました。馬の手綱を握っていたのはさっきの男。私は信じていたの |
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| に、裏切られてしまった。道端に仰向けに倒れたまま私は、「もう二度と人を信じるまい。私なんてどうなっ |
| たっていいんだ。」そう思いながら死んでいきました。 |
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| 流れる私の涙をぬぐってくれながら、葉香さんは前世の自分に「もう約束をやぶらないから安心してね |
| もし、どうしても約束が果たせないときはゆるしてね。いつでもあなたのことを思っているからね」と伝える |
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| ようにと言いました。そうすることで、私は自分自身を縛ることなく、人に対しても怒りを抱くことなく生きら |
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| れるようになるのだと教えてくれました。 |
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| セッションの後、まるで別の世界に来たかのように、気分がすっきりしていました。葉香さんはニコニコ |
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| しながら、「今度会うのが楽しみ!」といって私を送り出してくれました。 |
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| 2回目は、私のもっている能力を生かしているところを過去世に戻って見つけ、そのエネルギーをもら |
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| おうというテーマで始まりました。 |
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| コツ、コツという靴音とともに歩みを進める自分はまっすぐな髪をおろし、落ち着いた感じのワンピース |
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| を着ていました。周りの壁には美しい陶器が飾られていて、私はその一つ一つを確かめるように眺めてい |
| ます。ふっと左を見ると、白髪混じりの女性がたくらみごとを秘めた表情でこちらをじっと見ています。 |
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| どうやら、その陶器は私が創ったもののようです。葉香さんの導きで、わたしが一番能力を発揮している |
| 場面にすすみました。すると、突然ぱあっと世界が明るくなり、まばゆいばかりの光の差し込む部屋が見 |
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| えました。白いカウンターのそばには真っ赤な小さな花がたくさん置かれていて、私はそれを竹の籠に飾 |
| っているのです。窓からの見える風景は緑に囲まれていて、遠くまで見渡せます。幸せいっぱいの満たさ |
| れた気持ちで、私は作品作りにはげんでいました。その人生を終わりまで進めてから、もうひとつ別の場 |
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| 面に移ると、そこでは、私は男性でトランプの精のような服装をしてチェンバロのような楽器を弾いていま |
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| した。側にいる人が話すことに、私がおどけて、いろいろな楽器のフレーズで答えを返すと、みんな楽しそ |
| うに笑っています。私は2つの人生からエネルギーをもらって、「今」に戻りました。 |
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| 自分にはこんな才能がある。自分の生き方はひとつじゃないんだ。人生をもっと自由に楽しんで生きる |
| 方法がある!そう思えるようになった私の体は一気に軽くなり、どこへでも飛んで行けそうな気分でした。 |
| その日の帰り道に吸い込んだ、春の訪れを感じさせる柔らかな空気を、今でもはっきりと覚えています。 |
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| そして、3回目のセッション。 新しい道を歩もうと決めた私にとって壁となる、母からの影響というもの |
| を胎児期に見たのです。「これまでの人生で、何かに挑戦しようと思うと自動的に、あきらめるという選択 |
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| をしてきたかもしれません。」と葉香さんは言いました。その原因の一つは母親の生き方と受精時にある |
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| のだそうです。 |
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| 葉香さんの導きで降りていったところは、どうやら母親の子宮の中のようでした。薄茶色の壁がまある |
| くカーブを描いて続いています。どこまでも続くその壁と体の内壁の間を私は球体となって跳ね回ってい |
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| ます。薄いブルーの球体の中で、私は眉に力を入れてほっぺをプッと膨らませながら、はちきれそうなエ |
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| ネルギーいっぱいでじっとしていられないのです。ものすごいエネルギー!でも、しばらくするうちに壁が |
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| どんどん迫ってきました。と同時に涙を流している母の姿が見えました。肩まである髪で顔が半分隠れて |
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| いるけれど、とても悲しそう。私の父親らしき男性に受け止めてもらえず、自分の人生をあきらめて落胆し |
| ています。再び壁が近づいてきました。私の通り道がどんどん狭くなる!!!それでも私は唇をぎゅっと |
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| むすんで跳ね回り続けます。しかし、最後には壁にはさまれて身動きがとれなくなってしまいました。 |
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| 母の人生をあきらめるという姿勢が、今までの私にどのように影響しているのかをはっきりと感じました。 |
母の否定的な人生観が、本来の私自身を覆い隠している様子まで見えたのです。
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私は、自分の存在パワーを体で感じることができました。それを胸に今、スタートをきっています。「人 |
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| 間は自分の望むように、なりたいように生きていくことができるの。それに向かって頑張っていれば必ず |
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| 神様は力をくれるの。本当よ!」という葉香さんの力強い言葉を毎日思い出して、自分を励ましています。 |
| もし、前世療法に出会わなかったら、 あの日、葉香さんに出会わなかったら今の自分はいないのだと |
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| 思うと、とても不思議な気がするし、あのままいっていたら自分はどうなっていたのだろうと恐ろしくなりま |
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| す。葉香さんへ感謝の気持ちをこめてこの文章をつづりました。本当にありがとう。 |
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| M.H |
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