どのくらい近く



                               2020.11.7

ハロウィンが終わって、途端に寒さが増してきました。

いかがお過ごしでしょうか?

人との距離を取るというのが日常となってきて、以前のような接し方をしなくなりました。

そばにいて話すことが密だなんて考えたことがないくらい、短い間に世界のコミュニケーション

の仕方は変わっています。

急激な変化の中で抱える戸惑いや不安は、誰もが感じているかと思います。

会話の方法が変わっても、私たちが生きていくためには人との関係を離れては成り立ちません。

様々な関係性の中で、コミュニケーションを取るために欠かせないことは何なのかと、いつも

考えさせられます。



KYという言葉があります。周りの空気を読めないことに対する批判が込められた言葉ですが、

その場の状況や人の感情を一瞬にして読み取り、そつなく事を運ぶことが重要だという考えの

上に出来た言葉なのかと思います。世の中が円滑に回るためにという理由で。

しかしそのような神業が出来る人になるには、相当な修練を積まなければなりません。

KYと言われることの背景にある事実を知ると、誰もその人のことを責められないのではないか

と思います。もちろん場合によっては、大変迷惑なこともありますが。

場の雰囲気や集まった人の気持ちを感じ取るためには、必要なことがあります。

その一つが脳内の感情処理が正しく行われ、状況を認識できていること等です。


人を理解することや理解されるためには、相手の心に響くものが必要ですが、それが

好きとか嫌いとか、いいとかうれしいとか怖いとかのあらゆる感情です。

その感情を表現するために、入ってきた情報をどう処理しそれをどう表現するかという働きは

脳神経細胞の中枢にあるセンターコアによるものです。

その情報処理の仕方は、人がどんな環境に置かれどんな経験をしてきたかによってとても大き

な差異をもたらします。ある人にとっての当たり前は、他の人にとっては当たり前のことなどで

はないことが多いのです。

それをみんな同じと考えて初めて成立するのが、空気が読めるということなのです。



脳神経細胞には3つの本能があります。

「生きたい」「知りたい」「仲間になりたい」 です。

この3つの本能から、文化・科学・家庭・教育・組織などのシステムをつくり社会を維持しています。

なので、社会のシステムは私たちの脳の働き方がベースとなって創られたものと言えます。

脳の機能を最大限に活かすためには、この本能に基づいた習慣を身につけることが重要です。

コミュニケーションを円滑にし理解し合える関係づくりのためには、この仕組みを個人の生活に

取り入れることは理にかなっていることです。



「生きたい」という本能を活性化するものはたくさんあります。

嬉しい、安らげる、必要とされる、感動できる、価値が認められる、迎えられる、自然を喜ぶ、

十分にやれる、目的がある、高く評価される、完成させる、信頼される、守られる、美味しい、

安心、満たされる、理解される、人と関われる、愛される、愛する、許す、希望・・・。

これらを見ると、そのうちの多くが人とのつながりに関係しています。

生きることを助けるためには、人が大きな力を発揮するのですね。



反対に「生きたい」という本能を妨げるものも数多くあり、これも人と関係しています。

孤立や絶望や恐怖や怒りや敵意を生む破壊的な環境、愛情ややさしさの欠如、別れ、殺人・・・。

批判、責める、無視する、攻撃する、利用する、脅かす、破壊する、受け入れない、愛さない、

価値を認めない、顧みない、見過ごす、冷笑する、辱める、虐待する、孤立させる、聞かない・・。


こうした辛すぎる経験をしながら、それでも私たちは「生きたい」という本能を継続するためにも、

脳内の中枢で情報を処理します。

感情を抑圧をしたり封じ込めたりブロックしたり解離させることで、絶望による精神や魂の死から、

守るためのメカニズムが働きます。これは脳の中でだけ起きるのではありません。

肉体的、感情的、精神的、霊的な全ての側面で起きるのです。

抑圧された感情は、本人の表層では無かったことにされます。

実際のところは、エネルギーは凍結され時を経ても残って悪さをし続け、それが正常なコミュニ

ケーションを妨げていきます。

無意識に繰り返された処理の仕方が、脳の中でパターン化され本当の感情に気づくことを大変

困難なものにしてしまいます。

現在の目の前にいる人への感情なのか、それとも遠い過去の抑圧されていたものによる反応

なのかがわからず、今、目の前にいる人に過去をオーバーラップさせてしまいます。



人と人とが結びつくためには、感情が正常に流れる必要があります。

自己免疫システムの病気は、本来命を守るために働く力を自己攻撃に使用することによって

起きる病です。こうした自己攻撃は、抑圧された恨みや怒りや悲しみや敵意のエネルギーを

使って働きます。自覚されない無意識の感情を手放していくことによって、多くの難病が軽減

されます。人と人との結び目となる感情がうまく循環しないことによる病かと思います。

結び目をつくり、その絆を強めるには相手の立場や相手を思いやろうとすることを、互いに

行っていかなければなりません。一方通行ではほどけてしまいます。


「生きたい」という本能を活性化することは、自分の生活を変える力になります。

喜べることや安らげること、自分を本当に理解しようとすることは、人を理解することにもなり

ます。自分を理解しただけ、人にも同じようにそれを適用できるからです。

理解しようとすると、許せないことがいっぱい出てくるかもしれません。

それでも出てくるたびに、許し続けていくことが必要だと思います。

今、私たちは誰もが精一杯生きているから。


自分を見ていてどうしようもないなと思うことがあります。物凄くつらくなります。

そんな時こそ、自分に向かってそれでいい、大丈夫と繰り返します。

ヒーリングはずっと、そんな私を絶望の淵から救い出してくれました。

脳の仕組みやオーラの仕組み、肉体とスピリチュアルなつながりなど、ダメージを受けた部分

を癒し最適な働きへと変化するように、出来ることはたくさんあります。

安らぎの中で感情のドラムを打ち鳴らし、その音が周りの人々に伝わりハートが喜びで震える

ような世界には生きる希望があります。そんなふうに出来たらいいなと思います。

一日を幸せを見つけることで忙しくし、絶望する暇がないように暮らそうとしてください。

人生が、毎日作り出す喜びを経験することによって出来ているように。
                                          
                                       葉香


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