成し遂げたいこと


                                  2022.4.6

流れる川の水音が柔らかく、春の光に照らされて木々も草も大きく呼吸しているようです。

ちょっと元気をなくしていたパキラのチャーリーも盛り返し、新しい芽が伸びてきました。

このひと月、まるで異次元に旅をしていたような気がします。


重病を患いこの世を去って行かれたクライアントとのセッションは、私の心にも大きな影響

をもたらしました。お亡くなりになる前に、その方は今生で達成したいことがありました。

それは本当の自分を取り戻し、前を向いて自分の人生を生きるということでした。


この方のヒーリングは全て、娘さんからのご依頼でした。

遠隔ヒーリングは、他者からの依頼であっても必ずご本人の許可を得てから行います。

意識不明のような状態であっても、ご本人の意識にアクセスして許可が下りれば出来ます。

私の出来ることを通して、闘病生活が少しでも楽になる手助けが出来ればと考えました。

全て遠隔ヒーリングによるものでしたが、最後のセッションはお亡くなりになる前日のことで

した。


初めの頃は、病を引き起こしている原因となった細胞レベルに焦点が当てられましたが、

回数が進むにつれて、全てが関連していることがわかってきました。

縦糸と横糸によって創られた織物の色合いのように、不調和を感じさせる部分というの

はすぐに目につきます。

自分自身であることを妨げているものや、どうしても手放せなかった想念や波動そして

否定的な過去の荷物が取り払われると、魂にも心にも身体にも光が満ち本当の姿に

触れていかれました。

そして人生の織物は美しい調和に満ち、魂の安らぎを得ることが出来ました。

その安らぎと共に生きるこれから先の健康な彼の未来を、私は心から願いました。

翌日突然に別れが訪れたとき、あまりにショックでいたたまれませんでした。

ご家族から訃報が入ったとき、すぐにご本人とのアクセスを試みてみました。


どうして?

すると、彼からたくさんの言葉がテレパシーのように送られてきました。

私は実際にお会いしたことはないのですが、長い間お越しくださったクライアントのお身内

でもあったためか、ヒーリングを通してだけなのですが、

何十年来の友人だったかのように、亡くなったばかりの彼のことがよく理解できました。

ヒーリングでアクセスするのは、その方の幼い頃や過去世から現在までの時間の中で

重要な事柄全てに触れていくため、数回のセッションでも親しみを感じるのです。


彼の話の中で、

だいぶ前に体力の限界を過ぎていたけれど、どうしても達成したいことのために必死で生

きようとして頑張っていたことを知りました。

娘さんからのご依頼だったセッションでしたが、彼にとってそれは思いもよらぬ解放をもた

らし、とても大きな贈り物だったとおっしゃっていました。


全てが奇跡のように、必要なことが起きていたのだと思います。

こんなことを神様以外の誰が仕組めたでしょう。

最後のセッションで、人生で成し遂げたいことを達成できたと感じた後、肉体を去る時まで

短かったけれど、自分の人生に前向きに挑戦できたということを話されました。

そしてご家族一人一人への愛の言葉と感謝の気持ちを伝えてくれました。

私は、悲しみにくれるご家族に全てお伝えしながら、異次元とこの世界との間を行き来して

いるような気がしました。

3か月にわたる闘病生活の日々が彼の人生に与えてくれたものの数々は、痛みと苦しみに

勝る輝きと解放に至るものでもあったように感じました。


その後、桜の花が咲き始め見事な花が今は風に舞って散っていきます。

何も持たずに、ただ光の中へと。
                                   葉香




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