三つ子の魂
2011.7.5
大人になった私たちのほとんどが、赤ちゃんだった頃のことやお腹にいた頃のこと
を忘れています。
しかし三歳くらいまでの経験は、その後の人生の大きな礎となっていきます。
この時期は、母親の感情や経験も合わせて自分自身の経験として記憶していくこと
が多いのです。特に思考パターンや恐れや不安などへの反応は、脳の扁桃体に記
憶されてその人の生涯にわたり影響し続けていきます。
そして三つ子の魂百までもという諺によって、この影響が語られるようになりました。
この時代の安心と信頼に満ちた関係性は、その後の生涯にわたるかけがいのない
宝ものとなります。また不安や恐怖や破壊的な関係性は、その後の生涯にわたる大
きな苦悩や計り知れぬ負の連鎖をつくる見えない原因ともなって、存続するのです。
はげしい孤独感を感じながらも、けっして誰かを求めることが出来ず、求める必要
性すら持てず、何故こんなに孤独でいるのかということがその人を苦しませていまし
た。でも外側の世界や人々は、彼女にとってあまり意味を持たなかったのです。
自分の怒りや悲しみを人に話して、なぐさめを得ている人を見るとどうやったらそんな
ことが出来るのか考えても考えてもわかりませんでした。そして、自分もやってみれば
ひょっとしたらその孤独から出られるのではないかと・・・。ところが、そう考える先から
激しい恐怖や畏怖の感情とともに崖っぷちにいるような感覚がして、それ以上先には
すすめずにいたのです。
女性のこの苦しみは、生後4ヶ月・そして7ヶ月の時に作られた反応パターンの中で
も大きなものの一つです。4ヶ月の時に、彼女はさびしくて泣きました。そのときはお
むつがぬれたわけでもどこかが痛いわけでもなかったのです。彼女はただただお母
さんのやさしい温もりと愛情を確認したかったのです。
だんだん泣き声が激しくなったのですが、その時彼女のお母さんはストレスでいっぱい
だったことと、情緒が未熟だったせいか、彼女の口に布団を押し当てて泣き声を消そう
としました。(・・・この様子は私のリーディングで受け取ったものです。)
この時の経験は、命の危険を伴うものだったためパニックを起こしておりました。
その経験は、あまりにも大きな苦悩として彼女の人生に暗い影をもたらすことになり
ました。この時以降、この女性は自分の心を満たすという必要性が失われたのと同時
に、愛を求めることを恐れ、求めること事態が危険なものとなってしまったのです。
彼女にとって最も大切なことは、生き延びるために求めることをやめることだったので
す。見捨てられないために、不安や恐怖があっても自分だけの世界で解消しなければ
ならなくなりました。愛情を求めるために泣くこともやめてしまいました。
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心の健康を維持するために、子供は親や誰かの愛を必要とします。
しかし生まれてすぐに求める手立てをなくしてしまったら、どうなってしまうのでしょう。
もちろんその後の成長期に暖かい愛情がそそがれ安心に満ちた状況があれば、修復
される可能性は大きくなります。子供の脳は10歳くらいまで、とてもすばらしい発達を
遂げるからです。脳の機能を高めるために、様々な能力開発プログラムがありますが、
そのことが人間の幸せを育むために必要不可欠なものではありません。最大のプログ
ラムは情愛や安心ややさしさや信頼という心の機能です。最高最善の機能は日々の
暮らしの中で、人の心によって育まれていくものです。
幼い頃に、私たちは人間を学びます。どうすれば自分の要求に人が応えてくれるの
か、泣いたときに、周囲の人がどんなふうに応えてくれたのか、自分にどんな目が注
がれ、悲しいときやうれしいときにお母さんやお父さんがどんな反応をしていたのかな
どを通して、自分がどれ程価値ある存在かを知っていくのです。
彼女は、その後も家族から愛情を得られないままさらなる苦しみを深めていきました。
私は、彼女の扁桃体に記憶されたこの時の否定的なプログラムの全てを解除し、思考の
パターンを変換し、彼女がこの世界に意味を見出すことが出来るようなヒーリングをしまし
た。ネガティブな記憶は、チャクラ・経絡・経脈・免疫システム・肉体の細胞・背骨・頭蓋骨
に保管されていました。その全てを最善の状態に変えました。
その後、彼女の人生は静かにそしてゆっくりと大きく変わっていきました。
愛を求めるとか、感情を共有するとか、人を信頼するとかという言葉に実際の感情が伴
われてきたことが、最も大きな変化でした。
それは、グレーの世界から色や味を感じる世界へと変わるようなものだったのです。
多くの人々が普通に体験してきたものを、体験できずに宇宙に一人放り出されてしまっ
たような恐怖が日常となった暮らしを何十年も経験している人がいるのです。
日々が家族が人がただただ怖くて、生きていることがとてつもなく苦悩に満ちたものとな
って生きてこなければなりませんでした。
多くのまだ未婚の女性たちに是非お伝えしておきたいことは、心の安らぎや安心や優
しさ思いやりを最も大切なものとして心に留めてほしいと思います。子供を育てる時に大
きすぎるストレスや夫婦の不和は出来るだけ取り除いて、母親として安心できる環境づく
りにも気を配ってほしいと思います。結婚する前に、是非ご自身の過去の痛みや苦しみ
を解放し、心と身体の健康を維持してもらいたいと思います。
そして夫となる人を選ぶ際には、是非自分と子供を精一杯守ってくれる人をじっくりと捜し
てください。また男性は、妻の心が安心していられるような包容力と力を是非養って頂き
たいと思います。
それは、これから生まれてくる子供たちに言葉では言い尽くせない恩恵を与えることに
なるからです。
葉 香