あれから


                      2017.12.5

早くも一年が終わろうとしています。

暮れになるともう何年、そしてこれからまた何年と

人生の時を指折り数えて暮らします。

先日、よく訪れる深大寺にお参りをしました。

境内を歩いていると願い事を書いた絵馬が目に入って、そっと人々

の願いを見せてもらいました。


不思議なことに、書かれたものがみんな同じような願い事でした。

家族が健康で幸せでありますように。

病気が早く治りますように。

目的が達成できますように。

好きな人と結婚できますように。

わぁ〜何てすごいことなのかしら!と思いました。

願いはみな同じなんだ!!

こんなに大勢の人が暮らしていて、みんな異なった人生を歩んでい

るのに、願いはどの人も同じようなものなのですね。

こうした願いがあるということは、この願いが未だ成就できないでい

るということが含まれているのかもしれません。


釈迦の教えに四念住という教えがあります。

四つの心を集めて、正しい見方に安住するという教えです。

その中の一つに、「観受是苦」があります。

感覚器官は見たものを自分中心に捉え、自分の都合で見ること

から、どうしても苦を感じてしまうものなのだ。

感覚は意志に逆らうものだと知った上で冷静に物事を見たり、

他者の視点で見たりすることが大事である。


また「観心無常」という言葉もあります。

心というものは絶えず変化するものであり、心は同じ状態を維持

できないことを知り、その変化を観察すること。

条件によって物事が変わるし、縁によっても変わっていくものである。

自分に近いほど、都合が悪いと許しがたいようなことも起きてくる。


「あれから40年」というきみまろさんのコントが有名ですが、

具体的にリアルにユーモア溢れる言葉で日常の変化を表現し、

中高年の人々の心を鷲づかみにしています。

現実には、40年の歳月を待たずとも起きてくる変化を、一つ一つ

経験しながら、人生を様々に織りなしていきます。

「違うの、あなたじゃなくてその横の人!」って舞台の上から美人

を呼びかけても、大笑い出来る凄い人間力を育みながら、私たち

は逞しく生きていきます。


心が絶えず変化していくことを意識していることは、悩みを少なくし

たり、深刻に落ち込んだりすることなく物事を受け止めやすくなり

ます。教えは、苦しみを苦しむだけではない学びへと引き上げて

くれる力があります。

また変化するものだからこそ、そこにある愛はひときわ美しい輝き

を放つものなのかもしれません。


年の瀬を迎え、安らぎが皆さまとともにありますように。

                                 葉香


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