夜空の
2013.7.7
ここ東京の今日はとても良いお天気です。幼い頃、私の故郷では降る様に
夜空を星のきらめきが満たしており、天の川がはっきりと見えました。空の
かなたの二人には、一年ぶりの再会が滞りなくおこなわれそうです。
天上の二人を思いながら、何かロマンチックな言葉を皆様に贈ることが出
来ないかとこの二三日考えていました。そんな中で、ふと思い出したのが
万葉集の歌のいくつかでした。
*ま愛しみさ寝に吾は行く鎌倉の美奈の瀬川に潮満つなむか
相模の国の歌
(まかなしみ さねにわはゆく かまくらの みなのせがわに
しおみつなむか)
恋しくてたまらなくなってあの娘のところへ泊まりにゆくのだが、途中の
美 奈の瀬川が満ち潮で渡れないんじゃなかろうか。
*己妻を他の里に置きおぼぼしく見つつそ来ぬる此の道の間
国名不詳防人
(おのづまを ひとのさとにおき おぼぼしく みつつそきぬる
このみちのあいだ)
自分の妻だのに、防人に出るために、他人の里にあずけてきたのが気が
かりで、長い道中いつも妻の面影が目先にちらつきつつ、とうとうここまで
来てしまった。
*韓衣裾に取りつき泣く子らを置きてそ来ぬや母なしにして
小県郡の他田舎人大島
(からころむ すそにとりつき なくこらを おきてそきぬや
おもなしにして)
着物の裾にとりついて、行ってはいやだと泣き叫んだ子供たち。その子供
たちには母親もないというのに、ああつらいことだ。どうすればいいんだろ
う。妻に先立たれた男が防人に徴発された悲劇。
*色深く背なが衣は染めましを御坂たばらばま清かに見む
妻 物部刀自め
(いろぶかく せながころもは そめましを みさかたばらばま
さやかにみむ)
夫の着物の色を濃く染めておけばよかった。そうしておけば足柄山の坂を
通るとき、あれが私の夫だとはっきりわかるんだったのに。突然防人として
連れていかれる夫を想う歌。
*夜のほどろ出でつつ来らく遍多くなればわが胸截ち焼くごとし
大伴家持
(よるのほどろ いでつつくらく たびまねくなれば わがむね
たちやくごとし)
夜のあけ方に別れて帰ってくることが度重なったので、その時私の胸は
断ち切られるように、また焼かれるように苦しい。 相手は後に家持の妻
となった人への想い。
「万葉のうた」より
万葉の人々の暮らしに溶け込んだ歌の数々は、短い言葉の中でまるで
凝縮された香りの一滴のような感じがします。切ない恋心や妻や夫や子
らへの誠実で純粋な想いの数々が、歌集に散りばめられています。
天の星の美しさのように、人々の愛に満ちた思いも大変美しく心打たれ
るものがあります。
私も先日一つの願いを叶えてもらったのです。切実な心からの願いは必
ず実現するのだと教えてもらった出来事がありました。
万葉の人々と同じように、時代が変わっても別れは深い痛みをもたらす
ものです。
この間、そのことを時空を超えた出来事として体験しました。
ある香りに触れた瞬間、肩の痛みと胸の苦しみが襲って耐え難くなり、そ
れをヒーリングしました。
始まるやいなや涙があふれて止まらなくなり、わけのわからない哀しみが
私を圧倒しました。涙はとまらないのに理由がまったくわからないまま、
ヒーリングをすすめました。
すすめていくうちに、それは私の過去世に原因があったことや、当時の様
子がわかってきました。
何代か前の過去世のことですが、私は先行きを案じながら幼い子供を残
して死ぬようなことがありました。涙はそんな哀しみとせつなさと絶望が入
り混じった感情だったのです。
オーラには無数の過去世の記憶が残されているのですが、準備が出来る
とそれを解く時がやってくるようです。
何故なら、私たちは魂の旅人として永遠に成長しているからです。
贈り物は、私が過去世で遺したその娘とこの人生で出会えていたことを
知ったことでした。当時の私は幼子の幸せをどれほど願っても、それを見
届けることが出来ないという悲しみを感情体に留めたまま、一つの人生の
旅を終えていました。それが今生で再会を果たし、知らぬ間にその人の
幸せに少しでもお役に立てることができるという喜びを得ていたことがわ
かり、想いは時空を超えて叶うのだと実感したのでした。
星空の二人のように、私たちは転生を通じて何度も再会を重ねていること
があります。遠い過去の因が今生の果となって、良きにつけ悪しきにつけ
魂の再会を果たしていくのです。
そして様々な出会いが人生を彩り、出会いの旅が光に向かって永遠に続
いていきます。
皆様の心にある美しい願いが必ず叶いますように。
葉香
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