自然界の心
2015.4.7
桜が花開き、春の訪れを感じながら時を過ごす短いひと時が
今年もやってきました。桜守の方が、桜木がどんなにデリケートなの
かについて話すのを聞いたことがあります。ほんの一枝を手折るだ
けで木が枯れてしまうこともあるのだそうです。だから赤ちゃんを育て
るようにして桜を守っているのだとおっしゃっていました。
今月はそんな木と人間との物語をしたいと思います。
先日、人間関係で孤立感や分離感が強く、なかなか人となじめず何と
かそれを解決して前進しようと思ってこられた方がいました。
問題を癒そうとするときには、精神や感情や肉体だけでなく魂や霊的
レベルに関わるテーマがあれば、それら全てを見ます。
この時、霊的なレベルでとても強い力が働いているのがわかりました。
彼女の霊的な部分に二体の木の精霊がいて、心身の健康に悪影響を
与えていることがわかりました。それも骨格全体に。
彼女は肉体的なことでみえたのではなかったのですが、
実は脊柱の異常と骨粗鬆症を抱えているとおっしゃって、
痛みは重症でしたので、私の説明にも真剣に耳を傾けてくれました。
精霊は、彼女の4代前のお爺さんと関係がありました。
これはその精霊からの言葉です。
彼女の実家のある村に、鎮守の森と社があるのですが、その神社に
育っていた樹齢百年以上になるくぬぎの木があったのです。
それがこの精霊です。
彼女のお爺さんは当時その村の長で、神社の整備か何かのために
その二本のくぬぎの木を伐採しました。
伐採された木はバラバラになって、民家の建材として散らばっていき
ました。
この木の話によると神のそばでその地に育ち、いつも神の息吹を感じ
一体となって満たされていたのに、身体はバラバラにされてあちこちに
散らばっていったのだというのです。
このような身の上となった精霊の絶望や悲しみや怒りの想念は、彼女
の家に暮らす人々の身の上にも少なからず影響を与えてきたのでは
ないかと思いました。
精霊の想いも感情も、私には強い訴えとして伝わってきましたが、何か
古の物語を聞かされているようで信じがたい気がしました。
でも、後でご本人に確認したところ、確かに彼女のご先祖が庄屋をして
おり、その地域のことも神社のことも取り仕切っていたのでした。
私はバラバラになった木の魂をまず一つにすること、それが出来たら
今度はその木を元の場所に返そうと考えました。
ヒーリングの重要なプロトコルの一つに分裂した魂を統合するという
プロセスがあります。 ちょうどこの時それが思い浮かびました。
ただ人間と異なっているので、統合するのにも元の場所に返すのにも
特別な方法を使いました。
バラバラになって散らばっていた木が、だんだん一つになっていくにつ
れて、伝わってくるのが蘇る喜びのようなエネルギーでした。
元の神社のお社の右側に、その二本のくぬぎの木を戻すことが出来た
とき、それがどれほど長く待ちわびたことだったのかがわかりました。
本当にその地に帰りたかったからこそ、子孫に訴え続けてきたのだと
思いました。
長い樹齢を誇り、まして神として祀られた場所に育った木だったために
その力もまた想いも特別なものがあったのだろうと感じました。
小さな切り傷ですら痛いのに、敬われることもなく断られることもなく何
の前触れもなく倒された大木の無念さがほんとうに哀しく伝わってきて
最初から最後まで、私も桜守のような気持で精霊のヒーリングをしまし
た。
人間はこの地上に暮らしていますが、木も動物も微生物も鳥も魚もみな
この地球に暮らしています。私はこのとき、もっと彼らの言葉に耳を傾け
るように教えられた気がします。
以前ブータンの国のある村がテレビで紹介されたのですが、その村には
電柱が一本も見当たりません。
電気が通っていないのではありません。電柱は全部地下に埋められてい
るからなのでした。その理由がなんていうんでしょう、日本では考えにくい
かもしれないのですが、その地に生息するたくさんの鶴のためだったの
です。大きく羽を広げて飛ぶ鶴が、電線にひっかかって危険な目にあい
怪我をすることを避けるために施された方法でした。
その国では鶴が神の使いだと考えられているそうですが。
鶴のために施された優しさは、きっとブータンの国の人々の心に
大きな豊かさと愛と平和をもたらしていることだろうと思いました。
この日のヒーリングを終えたとき、彼女の体にはある変化がありました。
背中の歪みがなめらかになり、激しい痛みが軽減されていたのです。
もちろん骨粗鬆症は、一般的な原因であるホルモンの低下、カルシウム
不足、ストレス、加齢によるものだろうと思います。
でもこの出来事は彼女の心に思いがけない変化を起こしてくれたようです。
その後数回にわたって、脊柱など肉体的なヒーリングもしましたが、
それにともない、人との関係にも調和や安らぎがたくさん増えてきました。
花の季節になり、それとシンクロするような木の精霊との出会いは
私の心にまた新たなページを開いてくれました。
聞こうとする気持ちがあれば自然界はそれに応えてくれるし、呼びかけ
ると返事をしてくれるのも人と同じようです。
葉香
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