風薫る



                                   2015.5.6

幼い頃、私の育った村ではあちこちに鯉のぼりが見えました。
今年も爽やかな風に舞う鯉のぼりが、故郷の村には見られるでしょうか。
皆様お元気でお過ごしでしたか。
連休中、私はのんびりとした休日を過ごす中、日頃あまり集中して取り組むことが
出来ない自分自身に、出来るだけ向き合うようにしました。



職場、友人、家族、恋愛などの人間関係から人生の選択に至るまで、その全てを
司る私の意識とは?そしてどのような信念体系の元に今までがあったのか。
セッションでは、人々を苦しめがんじがらめにしている不自由な信念体系がよく理解
出来るのですが、いざ自分のことはどうなのかと省みようとするとなかなか客観的な
目を持つことができないものです。


そんなとき、クライアントさんのセッションの目的を自分に照らし合わせてみるととても
明確になります。
例えば、<自分のことを愛し慈しみます。>という目標設定をしたとき、ヒーリング中
は目の前の方に集中しているのですが、終わった後でじゃあ私は自分をどんなに愛
しているの?と訊ねてみたりします。


すると、うっそう!ってびっくりするほど自分への愛が足りないことに気づかされます。
わぁよかった。このこと誰も知らない、今のうちに自分への愛をいっぱいにしとかない
とと一生懸命にアファメーションを増やしたり、食事に気をつけたり、頭の中で繰り返
す否定言葉を感謝言葉や愛の言葉に置き換える努力をそっとしたりするのです。



そうやって毎日心を建て直しながら、細々と生活するのですが、
時々、あっそうだったんだと思えるような瞬間が訪れることがあります。
皆様にもよくおありだと思います。



悲しみや怒りや苦しみの奥にあるもの、人との関係性で感じた感情の奥にあるもの、
波立つことのない森の奥の湖のような静けさに触れるとき、私をありのままにいさせ
てくれる確かな場所が存在していて、私を待っていてくれることに気づかされるのです。
そのままでいていいよって。



多くの関係性の苦しみは、自分や人がそのようであることを認めることが出来ないこと
にその原因があります。



私は一人になったときに、エネルギー的な攻撃を受けることがたびたびあるのですが、
表向きの笑顔や優しさや弱々しさとは裏腹に、否定的な強いエネルギーを感じて最初
はとっても戸惑ってしまいます。
そこには、自分の期待は絶対叶えられるべき、苦しいのだから助けてくれて当然
求めには応じるべき、思った通りにやってほしい、あなたの責任、どうしてそうなのなど
の要求の数々がエネルギーの波に運ばれてやってきます。


それは精神的にも肉体的にも非常に重いものとなって私に襲いかかります。
つらいのはわかるのですが、実際にそれは一方的なことが多いです。
人との関係ではこんな場面がよくあるのではないでしょうか。



物事も人もそのときそうするように、そしてそうなるようになっています。
もちろんここで言っているのは、一部分についてのことですが。
出来事や状況はありのままそのままですが、それに意味をつけ加えるのは私たち
自身です。


そこには幼い頃から身につけてきた無数の思い込みの信念体系があります。
自分が認められていないと思い、見捨てられたと思い込み、状況や人を判断し裁き、
分離感を感じ始め、わかってくれないことに絶望したり怒りや恨みを持ち始めます。
思い込んだら百年目、そこには本当に深い苦悩が待ち受けています。



与えてもらえなかったと思って怒っていたけど、その人のポケットにもし望んでいたもの
が入っていたなら、きっときっと与えられたのです。
もしもそれが思い違いだとしたらどれほど切実に願っても、いくら待っても与えられるこ
とはないのだとわかったら、怒りは消えるかもしれません。
自分こそ、大事な自分自身のためにどれほどの愛情を注いでいるのだろうかと省みる
必要があります。幸せになるために自分で出来る責任は、果たせているのだろうか?



人との違いを認め、人がそのようであることを受け入れるということはたくさんの苦しみ
から私たちを解放してくれるものだと思います。
また自分をそのまま認めることができたら、愛を深めることが出来ます。
人を許し自分を許すということも、そのときそうしたようにそうだったのだと認められたら
同時に過去の呪縛からも自由になっていかれます。



この休日は、私の何気ない思い込みが果たして適切だったのかを、たった一つでも
見直せたらと思いながら、五月の風を感じています。


                                        葉香





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