2017.1. 1.

 新年あけましておめでとうございます。

年の初めのお慶びを申し上げます。

穏やかな新年の朝をお迎えになったことと思います。


ある雑誌の名言集に、人形師の辻村寿三郎さんの言葉がありました。

次のような短い文章です。
 

        吸って吐く息

   人間は、夢中で活きていると、四六時中、息を吸って吐いていることな
  
  どすっかり忘れている。寝ている時も、話している時も、泣く時も笑う時も、
  
  ちゃんと息をしているのだと気がついた時に、はじめて、その自然の力の
  
  おどろきと、喜びを感じるものだ。
  
  この言葉を知ってから、創るもの、見るものの本当の美しさを知ったよう
  
  な気がします。草や木、鳥や獣、魚や虫、みんな同じに息をしていると思
  
  うと、嬉しくって、楽しくって、活きていることが、二倍も三倍もに思える。 
                                          
                                          了



私は何故あのような凄みのある技をお持ちなのか、不思議でした。

まるで生きてる人のように、人形を自由自在に操る寿三郎さんの心には、

常にこの息との調和があったのではないかしらと、思いました。

彼の息を通して、人形に命が吹き込まれていたに違いないと深く納得した

ことでした。


息を吸っては吐き、ただの一度も忘れずに命が吹き込まれていて、私は

こんなに長く生きてきたのに、一度も止まったことがない。

夢中で暮らしてきた年月を、ずっとずっと一度も止まらずに応援してくれた。

死が迫ってくるように感じていたときも、それでもやめずに応援してくれた。

そんな命の息に何とお礼を言えばよいのでしょう。


そんなことを思い出させてくれる文章でした。

この一呼吸に思いを乗せて

今年が皆さまにとって幸せいっぱいでありますように。
                                   
                                   葉香



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