お節句


                                  2017.3.1

季節の移り変わりを感じることが出来るこの国に生まれて、うれしく思います。

今年もまた花の季節を迎えましたね。

先日、孫の初節句のお祝いに、小さくてかわいいお雛様を贈りました。

このお雛祭りには、ベストタイミングなお話があります。


私のちょっぴり悲しい思い出なのですが。

ある問題を乗り越えるために、その根本原因に想いを馳せた時のことです。

当時の私には、とても気がかりなことがありました。

私はずいぶん長い間、引っ込み思案で人々の中に入っていくことが苦手でした。

その原因を見つけては解放してきましたが、その一つに

出産時のトラウマのようになった出来事がありました。


それは、生まれたばかりの私を見てがっかりする母の様子に対する私の感情です。

古い家系に嫁いだ母の背には、男の子を生まなければというプレッシャーがとても

重くのしかかっていたからかもしれません。

生まれて最初に感じた母や家族の想いが、私に与えた衝撃はとても大きなもの

でした。私は人の期待に副える人ではないのだろうか・・・と。

しかしこの感情は受け入れがたく、無意識の奥深くへと抑圧されていきました。


心に刻まれた自分への罪悪感を解き放つことが出来たのは、

今の仕事を始めて、自らの記憶をたどれるようになってからでした。


学校に行ったり社会人になった頃には、人への恐れを感じることが多く、

人が私を受け入れてくれるはずがないという想いに負けていて、心がくじけて

ばかりでした。


人は人の中で大きくなっていくので、そばにいる人たちの影響を受けて育ちます。

私の場合、家族皆が母を助けられる用意があったなら、そしてより自由な

風土や時代であったならよかったのだろうかと考えたりもしました。

結局、変えることが出来るのは私の心だけだとわかっても、この恐れが

いったいどこからやってくるのか、当時の私にはわかりませんでした。


今、私は生まれ育った家と家族のこと大勢の人々、そしてその良いことも良く

ないと思うことも、魂の旅にとってはどれ一つとして欠かすことの出来ない

貴重な学びだと心から思います。

経験してきた苦しみや痛みを、そのままにして生きてゆけなくなって初めて

自分のことを心から助けたいと思えるようになりました。

それから魂の痛みを長い年月かけて、少しづつ解き放ってこれたおかげで

まだ生きていられるような気がします。



お雛祭りに際して、全ての女の子にそして大人になった女性のためにいっぱい

お伝えしたいのは、女の子として生まれたことへのお祝いの気持ちです。

またこれから家庭を持つ人は、是非、心のどこかに置いてほしいことがあります。

赤ちゃんも胎児もお話が出来なくても、目がまだ見えなくてもあなたの心は

みんな伝わっているのだということを。

幼い子らが皆、自分の存在を誇れるよう見守られますように。


今年の三月のお節句は、そんな想いでお雛様を買いました。

孫のためのものですが、幼き日の私のためでもあったように思います。
                                     
                                         葉香



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